霧氷!三峰山(1235.4m)::つばや菓子舗五代目ブログ

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五代目の四方山不定期更新日記
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先月末、師匠主催の伊賀遊歩塾1月の予定メールが届いていた。
その中にアイゼントレーニングの文字。
開催場所は、昨年は2回も目的地として企画されながら、結局登れず仕舞いだった三峰山(1,235.4m)
ちなみにこの三峰山は、手軽に登れる霧氷の山として有名らしいが、私の師匠は塾生達に霧氷や樹氷を見物させるために三峰山を選ぶような人じゃない。
たまたま私のリクエストしていたトレーニング内容や私の門限に近い条件が、奈良県側の三峰山と合致したのであろう。
何はともあれ、師匠!ワガママをきいてくれて、ありがとう!
で、当日、2011年1月17日月曜日 朝7:40伊賀をマイカー:セレナで出発。目指すは「みつえ青少年村」だ。
伊賀市蓮池経由で阿保まで行きR165号線に出る。
奈良方面に走ってR368号線の交差点を比奈知ダム方面へ右折(ここまで家から約30分)。
この日は寒波の影響で気温は氷点下だったが、長瀬、太郎生まで路面積雪も凍結もなしだった。
「道の駅 御杖」に立ち寄ってトイレを済ませる。
ここでチラホラと雪が舞い始めた。
周囲を見渡すと高い山は山頂が雪雲に覆われている!なんだか嫌な予感。

R369号線に入り、奈良県宇陀郡御杖村神末に差し掛かったその時。
路面に積雪?!先に進めば進むだけ雪深くなり、上村に差し掛かると「ここはどこのスキー場?」と間違えるほどの積雪。

でも、勾配が急な箇所も無いので2WDながら四輪スタッドレスタイヤ装着の我がセレナでも楽に走れる。

8:55みつえ青少年旅行村のゲート直前にある第四駐車場に車を止めた。
家から1時間15分で到着した。
師匠をはじめとする仲間はまだ来ていない。
単独の男性がアイゼンを装着して我々の予定している登山口へ入っていった。

誰の車か知らないが先客は1台だけである。霧氷まつり開催中とは言え平日なら空いているのかな?
それにしても駐車場周辺はまるで雪国!

これほど雪深い所が奈良県に存在していたとは、知らなかった!

登山口方面を眺めると、相変わらず雪がチラチラ降っていて、高い山は雪雲に覆われてその頂きは見ることができない。
病み上がりなので寒いのは嫌だなぁ・・・『三度目の正直=今日も中止か?』と心配していたが、程なく師匠が到着。本日実施の旨が伝えられる。

本日の登山対象地図が配られ、各自服装と装備の準備。

私の服装は・・・上半身:ヒート素材の肌着は行動していると暑すぎて汗をかくだけなので、夏用の速乾クール素材肌着(Tシャツ)。
その上にモンベルのウィックロン長袖Tシャツ。
さらに、ユニクロの薄手フリースジャケットを羽織り、
昔スノーボードをしていた時に買ってお蔵入りしていたアウタージャケットを着た。
ちなみにこのジャケット透湿性は一切無く登山向けでないことが発覚。今後の登場はもうない。

下半身:下着は速乾(ドライ&クール)素材。
タイツは流石にヒート素材。
その上にスノーボード用オーバーパンツを履く。
こいつは膝と尻に「しっかり」とした『あて布』が縫い付けられている。
これにスパッツを装着。

ソックスが一番悩んだ。
実は登山靴が3シーズン用で今回が初めての本格雪山。だから防寒性をどこまで靴下に依存すべきかわからない。ということで今回はウール混化繊のやや薄い5本指ソックスを下履きに、ウィックロン製の厚手ソックスを重ねた。
でも、結果は重ね履きが足裏とフクラハギを妙に圧迫してしまい、すごく足が疲れた。次回は厚手一枚にしよう・・・

帽子は耳当て付きのニット帽である。

装備:
グローブはシンサレートでインナーが分離できるスキー用のモノ。でも20年前にスノボで使っていたモノでフィット感がイマイチ。
こいつだと非ワンタッチのアイゼンを装着するような細かい作業ができないので次回は別のモノを使おうと思った。

本日は、アイゼン(軽アイゼン不可)、ピッケル(杖用は不可)、ヘルメット、カラビナ(環付含む)x3、スリング×3、簡易ハーネスが参加条件に掲げられていた。
一応昨年に師匠監修のもとで揃えてきた。各道具に関してはまた暇な時に山道具で紹介したい。

服装や装備が整った所で入山!

9:38不動滝を目指して舗装林道に入る。林道も10cm以上の積雪だ。

本日の山行は総勢9名(男4女5)。私と嫁さんは今回が2度目の伊賀遊歩塾
(でも一回目は林道歩き後撤退)。
他のメンバーは師匠の塾生で百戦錬磨の精鋭たち!(だろうと思う)

9:45登尾登山口をスルーして不動滝へ直進

でも、上り勾配が続く舗装林道・・・足慣らしのためにゆっくり登っていたが、10分ほど登っていると私も含め、皆が汗をかいていた。ここで着ているものの調整タイム。
風が無く、冷え込みもなかったので、私は、フリースジャケットを脱ぎ、速乾TシャツとロングTシャツにアウタージャケットだけになった。ジャケットのジッパーは当然全開。

この道中、軽トラ、そして少し間が開いて旧型ハイエース4WDがチェーン無しで登ってきた。
二台とも不動滝手前の橋付近に車を止めた。軽トラは滝にお参りの老人二人?地元の方だろうか?
ハイエースの方はどうやら登山者。

10:06橋の手前で舗装林道と別れ不動滝コース登山口へと向かう。

滝方面に進行方向右に進み、橋を渡り、ジグザグ尾根へ登って行くのが一般登山道。
我々は滝方面に降りずに林業用仕事道を進む。
すでに道は30cmほどの積雪で埋れている。

私は写真を取るために立ち止まっていたので隊列最後尾の9番目に居た。
師匠が遥か前方で雪に埋もれた仕事道をラッセルしていた。
しばらくすると「ここから各自ラッセルを15分毎に交代!」と号令がかかり、9人によるラッセル大会が始まった!
ちなみに私と嫁さんだけが初ラッセルのようだ・・・師匠のお慈悲で私達は5分ずつでOKとなった。

10:42沢が二又に分岐。ここを右に進む。

沢の水は凍って居ないが雪にうもれて川原が不明瞭になっていく。

11:08二度目の谷分岐。今度は左の谷を進む。


最初は気にならなかったのだが、進むにつれて、雪が深くなって歩きにくくなる。
すでに雪は膝下を越え、腿あたりまである。
前方で何人もラッセルをしているにも係わらず、深雪でツボ足がどこまでも沈んでく。

そこで師匠からアドバイス「先行者のツボ足に雪を蹴り入れ、埋めた所に踏み出さないとラッセルしてもらっても沈むぞ!それにリズムよく歩かないとアカン!」
なるへそ。そうなのか!

それに一旦足裏で雪を踏んだら、一度、抜重して同じ足で雪を踏みなおすと雪が締まる事が分かった。

ついに、自分がラッセルする番がやってきた。
雪溜りの谷(沢の中)で傾斜がだんだんきつくなって雪は股下くらいに・・・
ラッセルのやり方を知らない私は、もがくだけでいっこうに前に進めない。
アキマセン・・・私にはセンスがないのだろうか・・・ウルウル。

次の休憩の時にラッセルの基本動作を師匠直伝に教えていただく。
大股開きで横から前に振り回したガニ股足を前に踏み込むべし!これがラッセルの基本。
でも、ピッケルでは雪が深すぎてバランスを崩した身体が支えきれない!
ストックを持ってくるんだった!

植林帯が終わった。ここからは雑木林。だがここは、まだ霧氷は無い。
高度計は標高1000mを少しオーバー

ここでアイゼン装着命令が下る。
アイゼン装着は足場があってゆっくり座ることが出来る場合は、足場を固めて沈まないようにしていれば、アイゼンの向きは気にしなくて良い。

が、急斜面で足場が十分に確保できない場合は、斜面に対して下向き上向きにアイゼンを装着すべしとのこと。

この地点から山頂まで、あと残り・・・直線距離にして370m。標高差200mほど。でも恐ろしく急斜面が待ち受けている。

時計を見ると12時15分。
ここまで2時間40分近く経過している。一般登山道ならすでに山頂であろう。少し前までは腹が減っていたが、もうすでにそのピークを通り越して空腹感は感じ無い。

師匠の計画では、ここから氷結した小滝の連続地帯で、本来なら凍った小滝をアイゼンとピッケルで登る本日のメインイベントの筈だった。

でも、今日は滝も氷も何処にも見当たらない。あるのは雪たっぷりで雪に埋もれた谷だけだ。

装着できたアイゼンの基本的な使い方のレクチャーを受ける。フレンチスタイルとアルパインスタイルを上手く使い分けて確実に丁寧に登るべし!スパッツやオーバーパンツを破るなよ!

12:25出発 さて!凍った滝は無い!
アイゼン付けてラッセル大会!開始!


標高差50m(直線距離80m)登るのに30分!
なんぼも登っていないのに、もうすぐ13時だ!

積雪は腰まである!?ラッセル部隊の後方に位置しても、全く楽に登れない!

師匠曰く、気温が低いまま雪が降り積ったらしく、下層に根雪が無い。
このために、どこまでも柔らかい雪。しかも、どうやらここの谷はいわゆる雪の吹き溜まり地帯。
まるでラッセル・トレーニングのためにこの谷は存在しているかのよう?

傾斜角はドンドンきつくなって、雪はさらに深くなる。
師匠曰くここには小滝があるらしいが痕跡すら見当たらない。

13:48標高1100mを越えやっと霧氷が木々に確認できた!

綺麗なものだが、まさに心臓破りの斜面でのラッセルだ。
ラッセルの先頭を頻繁に交代して行く。

平均斜度35度を超えている?
急斜面の樹氷は束の間の安らぎ?

本来なら頂上直下のルンゼは、フィックスロープが張られプルージックしながら登る筈だった?

でも、今日はロープは張られない。
雪のおかげで摩擦抵抗があるので落ちる事は余程状態を起こさないと有り得ない?

それにしても足場は深雪で踏めないか、非常に脆い岩盤でアイゼンの前歯で簡単に崩壊してしまう。
このため、突き刺したピッケルや潅木を掴んでよじ登る。
この手前で私がラッセルした直後で私の足の浮腫みと疲労は限界に達した。
足が思うように動かない。りんご病は完治していなかった模様。無念!

14:16一般登山道に飛び出た。雪は在れども風で締まっているのか?それとも踏み固められているのか?とにかくスタスタ歩ける!師匠のブログでは高速道路に飛び出したと表現されているが、まさにそのとおりだ。

14:23スタスタと歩いてサッと山頂に到着。
せっかく来たので山頂で記念撮影


撮影者は師匠の相棒的存在?のM氏。
彼はエベレストサミッターだ。

この方、今年はキリマンジャロを計画されているらしい。すごいバイタリティだ!

昼飯も食べていないのに時間が14:30に近付いている。
なので名所と言われている八丁平は行かずに下山路(不動滝コース一般道)の避難小屋を目指す。
そこで風を避けて昼飯タイムだ。

下山路で見つけたヒノキの樹氷

よくもまぁこんなに凍るもんだ。


14:44不動コース出合避難小屋に到着。
各自昼食。
小屋の中は暗くて写真を撮るには不向きだ。
食事について今日わかった事は、雪山を登るときにオニギリは持って行っては行けないということ。
零下以下の低温で長時間経過した「ご飯=オニギリ」はβ化してしまって、モロモロ・ボソボソになってしまう。なんらかの調理をすれば良いのだろうが時間がなかったので、そのまま口にねじ込んだ。全くもってマズイ。
師匠曰く、寒い場所に炊き上がったご飯を持って行くなら油が程良く回った「いなり寿司」にしたほうが良いとのこと。
何事も経験である。

15:21避難小屋を出て下山開始
その前に、師匠とM氏がアイゼンを脱いで片付けていた。二人の共通点は筋金入りのアルピニスト。きっと「アイゼン無しで雪山を降りる技術を持っている?」と、彼らを特別視して、自分はアイゼンをつけたまま・・と思ったが、何事も経験だ!と、師匠とM氏と同じくように、私もアイゼンを脱ぎザックにしまった。

下山路の状態は、踏み跡があり、圧雪されていたが全然カチンコチンじゃない。
時折足が掬われそうになるものの、このルートは急斜面が無く雪の上や氷の上を歩いた経験があればアイゼン必須という訳でなかった。

下山路(不動滝を見下ろす場所)から振り向きざまに見えた三峰山。

三峰山の上部だけが不自然なほどに真っ白で霧氷がある。

15:53不動滝まで帰還。

ここで師匠はアイゼンを装着していたすべてのメンバーにアイゼンを外し片付けるように指導。
素人判断では駐車場までアイゼンでも良いのでは?と思ったが、師匠曰く「アイゼンの歯を削るだけ!勿体無い!」。
16:00不動滝出発
各々が雑談しながら和気藹々と16:20駐車場に帰着

朝、道を覆っていた雪は溶けて道路の中央と両端に少し雪が残っているだけだ。
本日の山行終了。三々五々、帰り支度をして帰路に着く。
ありがとうございました!

16:40駐車場を出発。
何とか門限には間に合いそうだ。


コースタイム
9:38駐車場出発
9:45登尾登山口をスルー
10:06舗装林道と別れ不動滝コース登山口へ
10:42二又分岐。右に進む。
11:08谷分岐。左の谷を進む。
12:15標高1000m植林帯終了アイゼン装着&休憩
12:25出発ラッセル大会
13:48標高1100m(霧氷)
14:16一般登山道
14:23山頂到着
14:44不動滝コース出合避難小屋(昼食)
15:21避難小屋を出て下山開始
15:53不動滝着
16:00不動滝出発
16:20駐車場に帰着



しかし、今日のトレーニングはヘビーだった。りんご病が完治していなかった事で、尋常ないバテに襲われた。これは我乍ら情け無さを通り越して泣けてきた。

それにつけても初ラッセルは自分の知識と経験不足で全く使い物にならなかった。
しかも柔らかい雪で、腰までの深さという三重苦。今回の反省点を活かしてさらに技術を高めて行かなければ!
ピッケルワークに関しては、歩行時の杖程度の事しか教われていないが個人的には色々使い方を試していたつもりだ。
あと、出来るだけ早く制動方法を教わる機会があれば・・・
アイゼンに関しては更に回数を重ねる事で効果的な使い方を習得できると思う。

安全に色々なケースに対応した歩行技術の習得。
道具を効果的に使いこなすための実習。
これらは自分の身を守る為でもあり、同行する仲間やその家族のためでもある。
もし、自分や同行している家族や仲間が遭難した時・・・遭難者を助けられるだけの行動が果たして自分には出来るのか?
またそうならないようにいかなる時も危険を回避する方法をどれくらい知っていて実践できるのか?

自分の身体だけが頼りな登山では机上の論理や高価な道具を揃えるだけで危険回避できそうにない。

相手が自然である以上、ケースバイケースでの実践が大切だと思う。
師匠の塾に出来る限り参加して、いろんな事を習得していきたいと思う。

来週の鈴鹿での雪山縦走・・・今から楽しみである。
| 山登り::高見山地 |
| 09:11 PM | comments (2) | trackback (0) |

コメント

アイゼンをどこで履き、どこで脱ぐかは意見がいろいろあります

しかし、滑っても滑落の心配がなくなり、氷も少ないとすると、早めに脱ぐべきでしょう

当日の五代目の判断は正しいです

アイゼンの爪は自然に対する悪い方向へのインパクトがありますし、雪に対する感覚を磨くには、可能な限りビブラムで歩くのがよいと思います

各個人の安全のために、強制はしたくありませんがね
| 伊賀天幕番 | EMAIL | URL | 2011/01/20 09:09 AM | j7e.pYEk | 保留中コメント:0件

アイゼンの脱着タイミングについて色んな方のご意見をお聞きしたいのですが、なかなかコメント貰えないです(汗)

天候もまずまずのようで、週明けの山行が楽しみだ!
| 五代目 | EMAIL | URL | 2011/01/22 05:16 PM | RkWOqosk | 保留中コメント:0件



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