2011,11,23, Wednesday/五代目
師匠主催の山行で三重県松阪市飯福田町にある飯福田寺の行場を歩いてきた。
飯福田寺の山号が《伊勢山上》で、山の名前は飯福田山で、近隣の山域を伊勢山上と呼ぶそだそうだ。(表・裏行場)
役行者の小角(役ノ小角:えんのおづぬ)は金峯山=大峰山と呼ばれる山上ケ岳(大峯山寺)と熊野古道奥駈道、そして吉野山の金峯山寺を開いたと人物で修験道の開祖と言われている。その役ノ小角がこの伊勢山上 飯福田寺も開いたのだ。
そんな神聖な場所で本当はやっちゃいけないんだろうけど、往来の邪魔にならないように!岩を傷つけないようにロープワーク教室が「こっそり」2011年11月21日に伊勢山上で開催された。
松阪市の山奥にある飯福田寺へのアプローチは、伊勢自動車道の一志嬉野ICから県道30号線→県道45号線、もしくは松阪ICから県道45号線で「伊勢山上」の看板を頼りに車でそれぞれ20分ほど。
大きな地図で見る
県道45号線から南西に橋を渡って少し走ると左手に歴史を感じさせられる立派な山門がある。
この山門の前後の空き地が飯福田寺の駐車場だ。
駐車場に車を止めたら登山準備をして川沿いの道を進む。
すぐに右の川を渡る橋があるのでそこを渡ると飯福田寺に到着。
(写真は上記の橋より少し先にある朱塗り橋)
でも、不案内な我々のメンバーの一部が、トイレは?こちら?と勘違いして薬師堂の階段方面へ歩いていった。すると少し離れた寺の受付の女性から「受付けしてくださーい!!こっちでーす!」と大声で呼ばれた。
まずは、ここで入山料200円(一人)を払い、受付けをしなければならない。(トイレも借りる)
この受付けの際に「入山心得」を手渡され、よく目を通しておくように《何度も》言われる。それだけ危険性が高く、何かあった時の責任問題も含まれているのだ。入山心得はこの方のページにも記載されている→http://www.ztv.ne.jp/okada1/c12.htm
さて、入山手続きが終わったら石段の前で準備運動のストレッチ。
本日の参加者は総勢10名だ。
ストレッチ終了後は石段を登って修理中の薬師堂の左より入山する。
植林の急斜面を登ると不動明王や愛染明王がお出迎え。
でも道は途絶えて右手にスラブがそびえる!
ここが「油こぼし」と呼ばれている壁だ。
(この名称、伊勢山上裏行場の第一難関・大峯山第一難関と共通しており、行場の入り口という意味なのだろうか?=油がこぼれているようなツルツル斜面を登れないなら行場に入るべからず!ってことだろう)
このスラブ、みんなは、設置されている鎖を掴ん(ゴボウ引き)で真っ直ぐ登っていく。
最後のほうで順番を待っていた私は「油こぼし」の途中から左にトラバースして登るルートを取ってみた。
すると皆が登った尾根の根っこ=岩屋本堂へ向かう場所にでた。
岩屋本堂へ行くには岩壁に手すりのついた細い岩道を行く。
すぐに巨大な岩がぱっくり口を開けたような場所が現れそこにお堂があった。
これが役行者+前鬼・後鬼が祀られている行者堂。国土地理院の地図では行者岩と書かれている。
ここは断崖絶壁の上にあって、下の谷を見下ろすとかなりの高度感。
このお堂の正面へ行くとお堂の右手に砂礫岩で出来たクライミングホールドのような石が飛び出ている。これを手がかり・足がかりにして右側の岩の上を目指す。ここを「鐘掛」と云うらしい。
師匠が先行してフリーで「鐘掛」を登ったが、後続者(我ら岩初心者集団?)に「各自、ヘルメットとハーネス装着してください。バックアップロープを用意しますから、それを使って一人ずつ登ってもらいます。」と指示が出た。
師匠は上の棚でカムを使ってセルフビレイ。バックアップ用のロープの支点を工作。そしてその先のルートにもヤバい場所があったようで、M氏に先行してもらい工作を指示。
皆が順番に登っていくのだが、師匠のビレイしているテラスが狭いので鐘掛を登った者はテラスで休むこと無くその先の難所を登らなくてはならない。
私も「鐘掛」を登った。
右上に登っていくのだが最後あたりは手のホールドが無くなるので、上へ登り切ってから右に進んだほうが良い。
「鐘掛」の上のテラスに登ると岩屋の庇越しに矢頭山が見えた。
ここからが本日の登りの核心部《御笠岩》と呼ばれる岩屋の屋根へ登る断崖絶壁斜面だ。
太い鎖がぶら下がっていて、その鎖をゴボウ引きにして登るのだがほぼ垂直の壁で落ちると奈落の底だ。
我々は安全のためにM氏が工作してくれたロープにプルージックをして登っていく『はず』だった。
でも、プルージックを押し上げながら鎖を掴んでスラブをよじ登るのは、どうしても手が足りないのだ。
なのでプルージックしたままM氏が上で引き上げながら、登攀者は鎖を頼りに登る。
鎖・・・入山料を寺が徴収している以上、鎖の安全性は確保されているだろう。でも、鎖に頼らなくても登れないと山屋とは言えない・・・という自分の中のジレンマが鎖を持って登ることを躊躇させる。
でも、ここは鎖を頼りに登ることが前提の行場。人工的な場所なのだ。
登り始めると最初はエライ所に来たなぁ!とビビったが、足場やホールドが途中から斜面の右の方にあるのが分かり、鎖の場所に惑わされないのが吉だと分かった。
《御笠岩》の上に出ると広い岩の屋根の上。
その上の順路に「抱付岩」があった。
(抱付岩の上を行くK氏)
この岩の攻略法はボルタリング時のように「岩に抱き付き」足をあげると簡単に登れる。なので岩にこの名前が着いたようだ。
あれ?ここに下から登ってくる道が?と眺めてみると、私が油こぼしを登らずにトラバースして出てきた所にあった迂回路の続きがある。
要するに岩屋をすっ飛ばして抱付岩まで登れると云うことだ。
「抱付岩」の上に登ってみるとメンバーたちはこの岩の下にある迂回路を歩いていた。
どうやら時間短縮したようだ。
振り返ると受付けをした場所まで一気に見える。
ここかパラグライダーで飛んで行けそうだ。
と、いうことでここまでが伊勢山上前半戦。しばらくは植林帯の尾根歩き。
抱き付き岩の後は森の中の急斜面を登って
尾根の平な道にでる。
平らで広い所があったので荷物を置いてロープワーク教室が始まった。
・ボーライン(ブーリン)ノット(=もやい結び)・・・正逆両方
・インクノットによる立ち木への固定
・エイトノットでのハーネス結合(ダブルフィギュア・エイトノット)
昼食の粕汁大会の後もロープワーク講座。
・シットハーネス装着方法
・ロープ結束(ダブルフィッシャーマンズノット)
・テープ結束(テープ結び)
・シートベンド
ん?時間切れや!ムンターヒッチ(イタリアンヒッチ)による救助法は次回!スマン!とあいなった。
さぁ!先に進んで次は懸垂下降の練習や!
と、先に進むが小天井(P328m)がすぐにあって、
その後は植林帯に両側を挟まれた尾根道をずんずん歩くだけ。
大天井に到着する。ここがピーク?と思ってみたが
この次のピーク(盛り上がり部)がこの飯福田山の山頂(380m?)のようだ。
大天井を越えると亀岩という看板があって視界が明るく開ける。
ここからは視界が広い尾根道の降りで岩場が頻繁に出てくる。伊勢山上後半戦の行場に着いたようだ。
少し先の岩場は蟻ノ戸渡のようだ。
尾根を少し下っていくと岩肌の上を歩く。
進行方向左手にやや切り立った斜面。この斜面、岩が適度にあってフリクションもヨサゲな場所。ここなら降りて登ってこれる。
師匠:よっしゃ!ここで懸垂下降(ラペリング)の練習します。
立ち木で支点を工作し、メインロープをロープダウン。さらにバックアップロープも立ち木にセット。ビレイヤーも準備完了。
一人ずつエイト環で懸垂下降。
最初はオッカナビックリで後ろに体重をかけられず思うように下降できないが、慣れると意外に簡単に安心して下降できるのが嬉しい。
そして希望者のみ肩絡みによる懸垂下降も行った。
まずは師匠がお手本。
私も確認のために降りてみる。
足元もデコボコだし傾斜が緩くて降りにくい。
懸垂下降の練習が終わったらロープの巻き取り作業も練習。
これもちゃんと出来ないとロープを出すことがイヤになる。
懸垂下降をしていた場所からすぐに鞍掛岩。
登山靴のフリクションをきかせて登っていく。
両側が切り立った馬の背になっている岩の上を歩くが岩肌はザラザラで歩きやすい。
以前の私(高所恐怖症)だったらこんな場所だと立って歩けなかっただろう。
でも北アルプスの天狗のコル~奥穂で吹っ切れたみたいだ。
楽勝!と思っていたらタダで済まなかった。高さはあまり無いものの高所でのバックダウン。
しかもバックダウンしはじめの一歩目の足の置き場所がブラインドで見えない。
先に通った人が降り方を教えてくれたから良かったものの、一人だとかなり焦るかも?
蟻ノ戸渡が続くのだが、ここは鞍掛岩の続きようだ。
一気に岩を降るのだが岩にフリクションがあり楽に降りれる。
そしてほんの少し登り返すと「小尻返し」という妙な名前の岩の上を行く。
この岩の上からは遠く四日市コンビナート方面が遠望でき、
眼下に最初の難場だった岩屋本堂の「御笠岩」が見える。
ほらこれ。
この「小尻返し」は何か大変そう。前が渋滞してなかなか順番が回ってこない。
少し先に「飛石」と看板がある岩場が見える。
「小尻返し」の渋滞理由その1がこの岩を降りる事。
一見なにもないのだが岩の角度がいやらしく足の置き場に困るのだ。
それから岩の先っぽがストンと落ちているのだ。
太い鎖を使ってほぼ垂直に一段降りて、
さらに90度左に鎖を垂直下降するのだ。
垂直斜面は降り始めの一歩が怖いのだが注意深く足場を探ると岩にえぐれた「つま先」の置き場所がある。
先発隊が「飛石」に着いたようだ。
なんで「飛石」なんだろう?
飛び石に登る
その先はまた岩の先で垂直に鎖で降りる。
太い鎖があるのだが、やっぱり降り始めの一歩が怖い。
けっこうな高度感。
この後は看板のある場所が出てきたが大したことのない場所だった。
数分森の中を歩くと幅の狭い急な石階段が出てきて降りていくと最初に通った薬師堂の横に出た。
まるでお化け屋敷の入口出口のようだ。
受付に下山連絡をしにいくと、ヘルメットにハーネス、腰にはガチャ類いっぱいの師匠を見て「遅かったですね。何かありましたか?」と受付嬢。
それを聞いて師匠は笑顔で「隅々まで堪能していたら遅くなりました!(・∀・)」
そらそうだ。2時間余りで歩けるコースを5時間半以上かけて来たんだから!
それにしても200円でこれほどまで大の大人たちをハラハラドキドキさせてくれる場所は無い!
鈴鹿の元越谷の沢登りを「鈴鹿のディズニーランド」と呼んだ人がいたけど、さしずめここは「奥松阪のUSJ」と云った所か!?
でも、
7:30自宅
8:20名張市桔梗が丘駅
9:15一志嬉野コンビニ9:25
9:45駐車場(山門裏)9:52
9:55飯福田寺(準備体操)10:04
10:08油こぼし
10:20岩屋本堂
11:37抱付岩
11:48ロープワーク基礎その1
小天井(P328)の西肩尾根で昼食
ロープワーク基礎その2 13:43
13:44小天井
13:58大天井
14:07亀岩
懸垂下降練習(エイト環、肩絡み)
ロープ巻取練習14:50
14:58鞍掛岩
15:04蟻ノ戸渡
15:09小尻岩
15:22飛石
15:34出口
15:36駐車場15:50
17:00桔梗が丘駅
17:35帰宅
距離2.4km沿面2.7km
累積標高差プラスマイナス319m
所要時間5時間42分
(昼食、ロープワーク教室、懸垂下降教室)
伊勢山上 飯福田寺
三重県松坂市飯福田町273
そうそう、帰宅後に伊勢山上の事を調べていたら、残念なことに・・・やっぱりというか・・・伊勢山上で今年の春に遭難者が出ていたようだ。
先の入山心得を書かれている人のページに記載されているのだが平成23年4月15日の入山者で下山しない人が一人。その日のうちから捜索したが見つからず、翌朝に「小尻返し」の60m下で遺体が見つかったらしい。
それ以外にもアイゼンやハーケン、ピッケルを持ち込んでの岩トレーニングをする輩がいるようで岩場が異常に削れていたことがある・・・などとマナー違反のレポートがある。
そもそもは修験者の行場なのだから無理をしないこと、そして良識・分別を持った人間が入山すべきだといえよう。
伊勢山上で遭難→http://www.ztv.ne.jp/okada1/c12.htm
飯福田寺の山号が《伊勢山上》で、山の名前は飯福田山で、近隣の山域を伊勢山上と呼ぶそだそうだ。(表・裏行場)
役行者の小角(役ノ小角:えんのおづぬ)は金峯山=大峰山と呼ばれる山上ケ岳(大峯山寺)と熊野古道奥駈道、そして吉野山の金峯山寺を開いたと人物で修験道の開祖と言われている。その役ノ小角がこの伊勢山上 飯福田寺も開いたのだ。
そんな神聖な場所で本当はやっちゃいけないんだろうけど、往来の邪魔にならないように!岩を傷つけないようにロープワーク教室が「こっそり」2011年11月21日に伊勢山上で開催された。
松阪市の山奥にある飯福田寺へのアプローチは、伊勢自動車道の一志嬉野ICから県道30号線→県道45号線、もしくは松阪ICから県道45号線で「伊勢山上」の看板を頼りに車でそれぞれ20分ほど。
大きな地図で見る
県道45号線から南西に橋を渡って少し走ると左手に歴史を感じさせられる立派な山門がある。
この山門の前後の空き地が飯福田寺の駐車場だ。
駐車場に車を止めたら登山準備をして川沿いの道を進む。
すぐに右の川を渡る橋があるのでそこを渡ると飯福田寺に到着。
(写真は上記の橋より少し先にある朱塗り橋)
でも、不案内な我々のメンバーの一部が、トイレは?こちら?と勘違いして薬師堂の階段方面へ歩いていった。すると少し離れた寺の受付の女性から「受付けしてくださーい!!こっちでーす!」と大声で呼ばれた。
まずは、ここで入山料200円(一人)を払い、受付けをしなければならない。(トイレも借りる)
この受付けの際に「入山心得」を手渡され、よく目を通しておくように《何度も》言われる。それだけ危険性が高く、何かあった時の責任問題も含まれているのだ。入山心得はこの方のページにも記載されている→http://www.ztv.ne.jp/okada1/c12.htm
さて、入山手続きが終わったら石段の前で準備運動のストレッチ。
本日の参加者は総勢10名だ。
ストレッチ終了後は石段を登って修理中の薬師堂の左より入山する。
植林の急斜面を登ると不動明王や愛染明王がお出迎え。
でも道は途絶えて右手にスラブがそびえる!
ここが「油こぼし」と呼ばれている壁だ。
(この名称、伊勢山上裏行場の第一難関・大峯山第一難関と共通しており、行場の入り口という意味なのだろうか?=油がこぼれているようなツルツル斜面を登れないなら行場に入るべからず!ってことだろう)
このスラブ、みんなは、設置されている鎖を掴ん(ゴボウ引き)で真っ直ぐ登っていく。
最後のほうで順番を待っていた私は「油こぼし」の途中から左にトラバースして登るルートを取ってみた。
すると皆が登った尾根の根っこ=岩屋本堂へ向かう場所にでた。
岩屋本堂へ行くには岩壁に手すりのついた細い岩道を行く。
すぐに巨大な岩がぱっくり口を開けたような場所が現れそこにお堂があった。
これが役行者+前鬼・後鬼が祀られている行者堂。国土地理院の地図では行者岩と書かれている。
ここは断崖絶壁の上にあって、下の谷を見下ろすとかなりの高度感。
このお堂の正面へ行くとお堂の右手に砂礫岩で出来たクライミングホールドのような石が飛び出ている。これを手がかり・足がかりにして右側の岩の上を目指す。ここを「鐘掛」と云うらしい。
師匠が先行してフリーで「鐘掛」を登ったが、後続者(我ら岩初心者集団?)に「各自、ヘルメットとハーネス装着してください。バックアップロープを用意しますから、それを使って一人ずつ登ってもらいます。」と指示が出た。
師匠は上の棚でカムを使ってセルフビレイ。バックアップ用のロープの支点を工作。そしてその先のルートにもヤバい場所があったようで、M氏に先行してもらい工作を指示。
皆が順番に登っていくのだが、師匠のビレイしているテラスが狭いので鐘掛を登った者はテラスで休むこと無くその先の難所を登らなくてはならない。
私も「鐘掛」を登った。
右上に登っていくのだが最後あたりは手のホールドが無くなるので、上へ登り切ってから右に進んだほうが良い。
「鐘掛」の上のテラスに登ると岩屋の庇越しに矢頭山が見えた。
ここからが本日の登りの核心部《御笠岩》と呼ばれる岩屋の屋根へ登る断崖絶壁斜面だ。
太い鎖がぶら下がっていて、その鎖をゴボウ引きにして登るのだがほぼ垂直の壁で落ちると奈落の底だ。
我々は安全のためにM氏が工作してくれたロープにプルージックをして登っていく『はず』だった。
でも、プルージックを押し上げながら鎖を掴んでスラブをよじ登るのは、どうしても手が足りないのだ。
なのでプルージックしたままM氏が上で引き上げながら、登攀者は鎖を頼りに登る。
鎖・・・入山料を寺が徴収している以上、鎖の安全性は確保されているだろう。でも、鎖に頼らなくても登れないと山屋とは言えない・・・という自分の中のジレンマが鎖を持って登ることを躊躇させる。
でも、ここは鎖を頼りに登ることが前提の行場。人工的な場所なのだ。
登り始めると最初はエライ所に来たなぁ!とビビったが、足場やホールドが途中から斜面の右の方にあるのが分かり、鎖の場所に惑わされないのが吉だと分かった。
《御笠岩》の上に出ると広い岩の屋根の上。
その上の順路に「抱付岩」があった。
(抱付岩の上を行くK氏)
この岩の攻略法はボルタリング時のように「岩に抱き付き」足をあげると簡単に登れる。なので岩にこの名前が着いたようだ。
あれ?ここに下から登ってくる道が?と眺めてみると、私が油こぼしを登らずにトラバースして出てきた所にあった迂回路の続きがある。
要するに岩屋をすっ飛ばして抱付岩まで登れると云うことだ。
「抱付岩」の上に登ってみるとメンバーたちはこの岩の下にある迂回路を歩いていた。
どうやら時間短縮したようだ。
振り返ると受付けをした場所まで一気に見える。
ここかパラグライダーで飛んで行けそうだ。
と、いうことでここまでが伊勢山上前半戦。しばらくは植林帯の尾根歩き。
抱き付き岩の後は森の中の急斜面を登って
尾根の平な道にでる。
平らで広い所があったので荷物を置いてロープワーク教室が始まった。
・ボーライン(ブーリン)ノット(=もやい結び)・・・正逆両方
・インクノットによる立ち木への固定
・エイトノットでのハーネス結合(ダブルフィギュア・エイトノット)
昼食の粕汁大会の後もロープワーク講座。
・シットハーネス装着方法
・ロープ結束(ダブルフィッシャーマンズノット)
・テープ結束(テープ結び)
・シートベンド
ん?時間切れや!ムンターヒッチ(イタリアンヒッチ)による救助法は次回!スマン!とあいなった。
さぁ!先に進んで次は懸垂下降の練習や!
と、先に進むが小天井(P328m)がすぐにあって、
その後は植林帯に両側を挟まれた尾根道をずんずん歩くだけ。
大天井に到着する。ここがピーク?と思ってみたが
この次のピーク(盛り上がり部)がこの飯福田山の山頂(380m?)のようだ。
大天井を越えると亀岩という看板があって視界が明るく開ける。
ここからは視界が広い尾根道の降りで岩場が頻繁に出てくる。伊勢山上後半戦の行場に着いたようだ。
少し先の岩場は蟻ノ戸渡のようだ。
尾根を少し下っていくと岩肌の上を歩く。
進行方向左手にやや切り立った斜面。この斜面、岩が適度にあってフリクションもヨサゲな場所。ここなら降りて登ってこれる。
師匠:よっしゃ!ここで懸垂下降(ラペリング)の練習します。
立ち木で支点を工作し、メインロープをロープダウン。さらにバックアップロープも立ち木にセット。ビレイヤーも準備完了。
一人ずつエイト環で懸垂下降。
最初はオッカナビックリで後ろに体重をかけられず思うように下降できないが、慣れると意外に簡単に安心して下降できるのが嬉しい。
そして希望者のみ肩絡みによる懸垂下降も行った。
まずは師匠がお手本。
私も確認のために降りてみる。
足元もデコボコだし傾斜が緩くて降りにくい。
懸垂下降の練習が終わったらロープの巻き取り作業も練習。
これもちゃんと出来ないとロープを出すことがイヤになる。
懸垂下降をしていた場所からすぐに鞍掛岩。
登山靴のフリクションをきかせて登っていく。
両側が切り立った馬の背になっている岩の上を歩くが岩肌はザラザラで歩きやすい。
以前の私(高所恐怖症)だったらこんな場所だと立って歩けなかっただろう。
でも北アルプスの天狗のコル~奥穂で吹っ切れたみたいだ。
楽勝!と思っていたらタダで済まなかった。高さはあまり無いものの高所でのバックダウン。
しかもバックダウンしはじめの一歩目の足の置き場所がブラインドで見えない。
先に通った人が降り方を教えてくれたから良かったものの、一人だとかなり焦るかも?
蟻ノ戸渡が続くのだが、ここは鞍掛岩の続きようだ。
一気に岩を降るのだが岩にフリクションがあり楽に降りれる。
そしてほんの少し登り返すと「小尻返し」という妙な名前の岩の上を行く。
この岩の上からは遠く四日市コンビナート方面が遠望でき、
眼下に最初の難場だった岩屋本堂の「御笠岩」が見える。
ほらこれ。
この「小尻返し」は何か大変そう。前が渋滞してなかなか順番が回ってこない。
少し先に「飛石」と看板がある岩場が見える。
「小尻返し」の渋滞理由その1がこの岩を降りる事。
一見なにもないのだが岩の角度がいやらしく足の置き場に困るのだ。
それから岩の先っぽがストンと落ちているのだ。
太い鎖を使ってほぼ垂直に一段降りて、
さらに90度左に鎖を垂直下降するのだ。
垂直斜面は降り始めの一歩が怖いのだが注意深く足場を探ると岩にえぐれた「つま先」の置き場所がある。
先発隊が「飛石」に着いたようだ。
なんで「飛石」なんだろう?
飛び石に登る
その先はまた岩の先で垂直に鎖で降りる。
太い鎖があるのだが、やっぱり降り始めの一歩が怖い。
けっこうな高度感。
この後は看板のある場所が出てきたが大したことのない場所だった。
数分森の中を歩くと幅の狭い急な石階段が出てきて降りていくと最初に通った薬師堂の横に出た。
まるでお化け屋敷の入口出口のようだ。
受付に下山連絡をしにいくと、ヘルメットにハーネス、腰にはガチャ類いっぱいの師匠を見て「遅かったですね。何かありましたか?」と受付嬢。
それを聞いて師匠は笑顔で「隅々まで堪能していたら遅くなりました!(・∀・)」
そらそうだ。2時間余りで歩けるコースを5時間半以上かけて来たんだから!
それにしても200円でこれほどまで大の大人たちをハラハラドキドキさせてくれる場所は無い!
鈴鹿の元越谷の沢登りを「鈴鹿のディズニーランド」と呼んだ人がいたけど、さしずめここは「奥松阪のUSJ」と云った所か!?
でも、
7:30自宅
8:20名張市桔梗が丘駅
9:15一志嬉野コンビニ9:25
9:45駐車場(山門裏)9:52
9:55飯福田寺(準備体操)10:04
10:08油こぼし
10:20岩屋本堂
11:37抱付岩
11:48ロープワーク基礎その1
小天井(P328)の西肩尾根で昼食
ロープワーク基礎その2 13:43
13:44小天井
13:58大天井
14:07亀岩
懸垂下降練習(エイト環、肩絡み)
ロープ巻取練習14:50
14:58鞍掛岩
15:04蟻ノ戸渡
15:09小尻岩
15:22飛石
15:34出口
15:36駐車場15:50
17:00桔梗が丘駅
17:35帰宅
距離2.4km沿面2.7km
累積標高差プラスマイナス319m
所要時間5時間42分
(昼食、ロープワーク教室、懸垂下降教室)
伊勢山上 飯福田寺
三重県松坂市飯福田町273
そうそう、帰宅後に伊勢山上の事を調べていたら、残念なことに・・・やっぱりというか・・・伊勢山上で今年の春に遭難者が出ていたようだ。
先の入山心得を書かれている人のページに記載されているのだが平成23年4月15日の入山者で下山しない人が一人。その日のうちから捜索したが見つからず、翌朝に「小尻返し」の60m下で遺体が見つかったらしい。
それ以外にもアイゼンやハーケン、ピッケルを持ち込んでの岩トレーニングをする輩がいるようで岩場が異常に削れていたことがある・・・などとマナー違反のレポートがある。
そもそもは修験者の行場なのだから無理をしないこと、そして良識・分別を持った人間が入山すべきだといえよう。
伊勢山上で遭難→http://www.ztv.ne.jp/okada1/c12.htm
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