懸垂下降レッスン付きの八草川(下半)::つばや菓子舗五代目ブログ

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五代目の四方山不定期更新日記
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え?通行止めやん!
滋賀県長浜市木之本町から国道303号線を利用して八草トンネルを出て、すぐ右折。ここは岐阜県揖斐川町の「旧303号線」の八草峠へ至る入り口。
その道には錆びていないがヨロヨロ・ボロボロになっているA型バリケード(進入禁止)が立っている。

(沢に咲いていたトリカブトの花 2011年9月12日撮影)
「うーん・・・ここから歩くのはかなり遠いなぁ」
自己責任で、行けるところまで行ってみよう!と、林道へ入って数百メートル先で道路右斜面の山が幅10m以上崩落。
落石防護フェンスが土砂をギリギリで受け止めているのだが車道はほとんど消失している。
フェンスから路肩までの距離は2m余り?・・・路肩を踏み外せば奈落の底・・・ギリギリ5ナンバーの車が通れた。
少し先にも倒木・落石があったが、なんとか目的の駐車地まで辿り着いた。
後で沢行復路で旧303号線を歩いて判明したのだが、もはやこの旧303号線は崩落、倒木を放置されている状態=廃道になっているようだ。(2011年9月12日現在)

「よっしゃ、ここで沢装備。」と山行リーダーの師匠から声がかかる。
今日は山仲間との白倉岳北面(金糞岳北尾根と平行に流れている)八草川の川遊び山行。
山行メンバーは女性1名+男性4名の合計5名。ちなみに捻挫療養中の嫁さんは留守番。

「ほんなら行くで」と師匠が先頭を切って向かった先は、皆が道端で着替えていたすぐ横のブッシュ。

「え?最初からヤブコギかいな!^^;」
高さ6mほどの踏み跡など一切無いヤブ急斜面をモンキークライムダウン。ズリズリ落ちそうになる沢タビの足元。フェルトソールのエッジを利かせ、立ち木にぶら下がりムリムリ降りていく。客観的に見れば「なんちゅー集団なんや!^^;」と、言った方が良い。我ながら今日の核心部はここだったかもしれない^^;イヤマジデ

「え!また登るん?」一旦河原に降り立ったのだが、タッチアンドゴー!川の水をジャブジャブ横切って師匠はすぐ立ち木を掴んで対岸の斜面を登りだした。

「この上に八草集落跡があって、そこに林道があるんや」と師匠。「ほんまかいな?」と師匠の尻を追っかけて行くと、あ!ほんまに道があるわ!・・・背の低い草に覆われたヤブ道だけど(^^;)

そうそう、ここは江州と美濃の県境エリア。熊注意な場所だ。
師匠は盛んにザックに付いている熊鈴をチリチリ鳴らす。

しばらくヤブミチを歩いていたが道が消えたので沢に入る。

八草川はフクラハギ程度の水量でクリアなのだが、この川の岩は黒っぽいので水面が陽光を反射すると川底が全く見えない!
それに川面に露出している大きな岩というものがほとんど無いので飛び石も出来ない。
ザブザブと石だらけの平流を遡っていく。こんなことなら釣り用に買ってあった偏光グラスをしてくればよかった!

出発から1時間。「ほんなら、ちょっと早いけど、ここらへんで昼御飯!この先は皆が座れるほど広い河原が無いから」
「へーい!」今日は(も)師匠の鍋&コンロ×1つで「釜あげウドン」だ。
いつもは私も鍋とコンロを持って山に行くのだが今日は参加者も少ないということだったので、私の機材は家に置いてきた。
師匠は鍋の準備、皆はザックから「玉ウドン」を取り出す。
でも、間もなく、師匠が情けない声を出す。「あっちゃ~・・・あかんわ・・・コンロのガスコックが錆びついて動かへん!」
いくら力を込めようと、石に叩きつけようともコックはビクリとも動かない。このままではガスコンロで調理ができない(=湯が沸かせない)!
まだか?まだか?と、玉うどんを握り締めているOさんが、「火が着かないんなら、冷やしうどんでエエやん!」と「素」で訴える。・・・・「ちゃぶ、ちゃぶっ」と沢の水で玉うどんを洗って食べるというのか?・・・それは「冷やしうどん」ぢゃない!誰ともなくOさんにツッコミを入れる。「あ?いや!それはアカンって!鯉や無いんやから!そんなん食べられへんよ!お湯で茹でんへんかったらモソモソして食べられへんって!」「そうかぁ?」・・・こんな所で洒落にならない漫才が見れるなんて!
でも、このままじゃ、冗談抜きで「冷やしうどん」確定。そうや!「焚き火で湯を沸かしましょうよ!」
幸いにも川原だから石はいっぱいある。これで焚き火の釜を作る。そして焚き火の着火用には配布された地図のプリントが人数分ある。一人分を除いて地図を着火剤に。そして焚き火用の小枝は台風で河原に無数流れ着いていて、ここ数日は天候が良かったようでよく乾いている!皆で小枝拾いをすると5分足らずで焚き火が出来た。

おかげで無事に「熱々&ツルツルうどん」が腹いっぱい食べられたのであった!

#教訓:バックアップ用ガスコンロは忘れずに!

「さぁ~いくでぇ~」師匠が手に棒切れを握りしめて出発する。

棒切れは水深を測ったり微妙なバランスを維持する際に便利なだけでなく、先頭が蜘蛛の巣に頭を突っ込むのを防いでくれるのである。

昼飯ポイントを出発すると、ずーっと3m~5mのゴルジュ帯。

滝というには憚るような落差の小滝が連続するS字ミニ廊下(浅くて壁は低い)の連続だ。

でも、台風で流れ着いた流木が流れを邪魔している事が多々あった。

またこの日の狭い廊下の水流に恐怖心は全然感じない。でも、淵の底が見えないので気分的に胸まで浸かりたくない。

ならば!トレーニング!と、少し高い位置をヘツって頑張ってみたのだが、この日は軍手で遡行していた私。
喰らいついていた指先が「ヌルリ」となって3回ほど豪快にドボンしてしまった(T_T)
また、足を置きたくなるような水面ギリギリの大きめの石に「ヌルリ」とした苔が付いていて何度となくスッ転んでしまった!

それにしても涼しい。やっぱり暑い夏は沢に限る。

滝らしい滝のないマッタリとした平流とゴルジュを繰り返して1時間余り・・・

右岸の支流が二条の滝になって落ちてきている。今日一番の大きな支流の流れ込みだ。

その支流の滝から本流を遡ること5分余り。

目前に本日初めて見る滝らしい滝が落ちている。地図にも掲載されている滝だ。

落差は5~6mだろうか?
右岸の斜面を注意しながら登るが大した傾斜角ではない。

全員無事に登った。ここで師匠から私への特別メニュー!
「はい、辻さん、ここで懸垂下降の練習をしよう!フルハーネス付けて、持参したザイルを出して!」
実は、今年の夏、神崎川のツメカリ~白滝周回の時に、リングが設置された激流8m滝を、ザイルを持っていたにも係わらずに私達夫婦は降りることが出来なくて、登山道にエスケープしたのだ。そのブロクを読んだ師匠は、「懸垂下降が出来きたならスムーズに降りれたのに・・・また子ども達を沢に連れて行く時にも懸垂下降は出来たほうが良い!」と本日まで私と嫁さんへ「いつか懸垂下降を現地トレーニングさせてやる!」と考えてくれていたのだ。ありがたい事だ。

で、まずは師匠持参のザイルで、セルフビレイとザイルの支点についてのお話。太い元気な木があったので、そこにロープをかけて、オーバーハンドノットで末端同士を結ぶ。次にロープを手繰っておいてロープダウン。
ロープ2本を手にとって肩絡みでの懸垂下降の実演。

肩絡みはエイト環などの下降器を自分が持っていても、それを子どもなどに貸す場合や、ギア落下時にも役立つ技術であるという点から「肩絡み」を覚えておくようにというオーダー。この時に手袋と襟付きシャツは手や首の火傷防止に必須。


次に自分で実際にやってみる。いざ、やってみると、足のスタンスの置き場所と手でロープを握っておく事を守れば、意外にも安定して簡単に懸垂下降できる事が体験できた。
こんなに簡単にできるなら白滝での下山はもっと沢を満喫できたであろう・・・

次に、持参したエイト環を使って実習。最初は、まず肩絡みと同じく、師匠による模範下降。
この時のポイントはセルフビレイとギアのビレイ、エイト環をビナに通しておく向きとロープをくぐらせる時のエイト環を構える向き。これまた体重を後ろにかけて斜面を蹴って降り始めると楽に急斜面を降りることが出来た。
あと、落ちたモノや人などをピックアップするために懸垂下降する場合、エイト環の上にスリングでプルージックを用意することでメインロープから両手を離して作業ができる事を教えてもらった。
懸垂下降のコツを伝授してもらって、ちょっと自分に自信が付いたような気になった。

さて、良い時間になった。八草川から帰らねばならない。
帰路は左岸に存在する八草峠からの林道を利用する予定だが、断崖のかなり上に存在しているようだ。なので林道が近づくまで川の遡行を続ける。

チョックストーンのある小滝はホールドがなく、右岸を小さく巻く必要があったのだが、降りる場所が2mくらい高さがある・・・とキョロキョロ降りる場所を伺っていると残置されたフィックスロープがあった。おそらく釣り師が残置してくれたものだろう。でも老朽化している可能性があるので完全に体重をかけるわけにはイカナイ。・・・こんな場所が2箇所ほどあった。

滝を後にして川を歩くこと40分。やっと左岸のすぐ上に林道が近づいてきた。
ここで遡行を終了して陸に上がる。遡行時間は約5時間だった。
(昼食&ラッペリング教室の1時間50分を含む)

林道へヤブの草を掴みながら斜面を登る。

「え?こんなハズじゃ・・・」林道に出た師匠がポツリと呟いた。
八草峠から分岐して八草川沿いに伸びているこの林道。数年前までは、草がショボショボした未舗装林道だったらしいのだが、今では人が見えなくなるほどの「とんでもないヤブ道」。
しかも、山の斜面が崩落しているのでボーっとヤブを漕いでいて足を踏み外せば奈落の底にある八草川へ舞い戻らねばならない。

なので注意しながら、緩やかな登り道の林道をヤブコギしていくのだが、ススキなどのイネ科の雑草に混じってバラ科の雑草がかなりの割合で隠れており、長袖長ズボンであれどもチクチクして痛い。
このヤブった林道が結構長い。旧八草街道出合いまで一度小休止して50分かかった。

蕎麦粒山のトンガリが少し近づいてきたように思う。

さらに5分ほど未舗装路を歩くと横山岳が見える八草峠。

ここからは旧国道303号線で舗装路なのだが、崩落した土砂や岩、巨大な倒木、そして道の崩落・・・徒歩であれば通過することは出来たのだが、もはや道としての機能は果たして居らず、見捨てられた状態が続いているように見えた。入り口に「立入禁止」の看板がある訳が分かった。

帰宅後に調べて分かったのだがこの八草川に建設予定だったダム施設(金居原発電所)計画が2002年に中止
それまでは周辺地域で補助事業の色々な土木工事がされたようだ。が、結局、ダム建設中止を受けて、源流域の林道は放棄されたらしい。
結局、復路はテクテク歩いて1時間50分かかった。遠かった!

コースタイム
10:48沢装備場所発
11:45昼食12:48(1時間3分)
14:05支流合流滝(P636南西)
14:12滝
14:15懸垂下降教室15:00(45分)
15:40終了
16:34旧八草街道出合
16:40八草峠(旧国道303号線出合)
17:30沢装備場所着
20:30滋賀県野洲経由で帰着

往路:赤いルート
距離5.2km(沿面6.0km)
所要時間4時間55分
累積標高+697m-551m

復路:ピンク色ルート
距離5.6km(沿面5.7km)
所要時間1時間50分
累積標高+293m-439m



往復10.8km(沿面11.7km)
所要時間6時間45分(昼食57分含)
累積標高+990m-990m



あ~美味かった!ワサビ!
| 沢登り::江美国境エリア |
| 08:25 PM | comments (0) | trackback (0) |

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