2010,10,27, Wednesday/五代目
2010年の山行プレイバックシリーズです。
この山行は6月上旬に単独で行ないました。
タイトルの遭難・・・地図(山域周辺)を持たず(コンパスは携行していた)にガイド本の単独峰の登山道のページだけをコピーして持参するという事が如何に暴挙だったか!?という教訓が残りました。(周辺の山域地図も携行しましょう!)
でも、山からの景色は最高だった!
この目標は仙ヶ岳(961m)。仙ヶ岳を小社峠から登ってピストンする予定だった・・・
登山口へのアクセスは、鈴鹿の小岐須渓谷。
伊賀からは名阪国道を通り、東名阪自動車道で鈴鹿ICまで行き、小岐須キャンプ場を越えて大石橋の駐車地を目指す。
道中、災害復旧工事渋滞(少し前の雨で亀山JCT付近で崩落)が発生していた。
現地入りが遅れたため、「帰宅が遅くなる」と嫁に電話をしておいたが、小岐須キャンプ場に到達した時点で、またトラブル発生。
キャンプ場から先の道で工事をしているらしく大石橋まで車で行けない!(この工事は2010年7月に完了)
11:02やむを得ずキャンプ場の管理棟横駐車場に駐車して歩き始める。
駐車地に他に車が2台あったがどうやら工事の人たちの車のようだ。
下の写真は工事現場を振り返って撮影したものだが山側の斜面が崩落したのを削り取り防護ネットを付ける工事のようだった。
その先にはデカイ落石が転がっていた。
11:25 20分あまり道路を歩いたところに宮指路岳登山口の看板があった。
これをスルーして林道終点を目指す。
大石橋の先にある駐車地だが工事をしているので当然無人。
そこからすぐに小社峠登山口へ続く林道に車止めがある。
落ち葉のたまった舗装林道を歩いて行く。
ヒルが湿った落ち葉の影に隠れていそう。コマメにヒルチェックをするが被害は無い。
やがて未舗装路となり、橋を渡ったところから左に林道がカーブして傾斜を登り始める。
その途中に黄色いジャケツイバラの花が咲いていた。
その先にはヤマゴボウ?と思われる花が咲いていた。
帰宅後に調べてみるとマルミノヤマゴボウだと分かった。
ちょうど昼になろうとしていたので橋の上でオニギリを食べて昼食とする。
12:02歩き始めると「仙ケ谷通報ポイント1」の看板があった。ここまでの所要時間は、ちょうど1時間だった。
林道を終点まで行くと目の前の植林帯の手前に沢があり、そこを渡渉する。
植林帯を登り
また渡渉
小さな滝があった。
綺麗な沢をながめながら少しずつ高度を上げていく。
12:16通報ポイント2にやってきた。ここは仙鶏尾根の分岐でもある。
木橋を渡り
大岩の横を通り
12:44 通報ポイント6?アライ谷分岐だ。
通報ポイント3~5は無かったように思った。
赤いペンキマークを頼りに渡渉。
ここを過ぎてから私の悲劇はスタートした。
沢から登ると植林帯で、炭焼き窯跡があった、そこから上を目指して歩いて行くのだが道標も赤テープも無いのである。
木にビニール紐があったり赤い杭が地面に刺さっているが、どれもこれも植林のマーキングらしい。
最後にマークがあった場所まで戻ったりしてみたが埒があかない。これを何度繰り返したことか・・・
ただ分かっているのは、傾斜を登れば、上にはU字型になった県境稜線の尾根道があって、そこを左に進めば仙ヶ岳がある!
よし!登ってやる!と上を目指す。
途中にナメ滝があった。
その先によく踏まれたジグザグ道がある。
植林用の仕事道だろうか?それとも小社峠への道が見つかった!?
どんどん高度を上げていく!
このまま小社峠だ!と、喜んだのも「つかの間」だった。
何本もの巨大な植林ヒノキの倒木が道を阻んでいた。
しかも倒木の樹の枝が半端じゃなく、広範囲に道を塞いでいる。なので乗り越えられないのである。先へ進むには下に一度降りて大きく迂回をせねばならない。
でも、もうそんな時間はかけられない。
ええい!と視線を右上に移すと植林の先が明るい。
しめた!尾根がある!その先にきっと県境稜線がそこにある!
稜線まで登れば県境稜線まで近い!あの明るい尾根に行こう!
植林帯の急斜面を無理矢理にトラバースして尾根付近まで行くと・・・
「オーマイガッ!」
明るい尾根はあったものの、その先は見渡すかぎり花崗岩の岩肌。それがザレいるじゃ、あ~りませんか!
でも来てしまった!紅ヶ岳を思い出せ!もう後戻りは出来ない!と、弱々しいツツジの根っこやアカマツのヒョロっとした枝の根元を掴み、抜けない事を確認しながら文字通り「よじ登った」。
10mほど「よじ登ったら」尾根に出た。でも県境稜線じゃないどころかヤブが酷くて立ち上がることも出来ない。
そこからはイバラの道を這いずって尾根の上部を目指す。
ザックがイバラや枝に引っかかって前に進めない!強行突破!
少し木々に間隔のあるところでは蜘蛛の糸が顔につく。
完全なヤブコギである。カメラを取り出して写真など撮る余裕は微塵も無い!
「うわぁぁぁー!」と心のなかで叫びながら(本当に叫んでいたかも?(汗)、ヤブを突破!
あれ?と、よく踏まれた「道」に突き刺さるように這い出た!
ひょっとして、これは県境稜線!?
(このヤブの中から出てきた)
14:04 回りの景色を確認して何処にいるのか把握しようとする。
正面に野登山がある。
間違えなく県境稜線尾根である。
右を向くとアンテナのある山?高円山?
その手前にある岩場はなんだ?エライ場所やなぁ~と、この時点では他人ゴト。
その右で岩が見えているのは宮指路岳?
宮指路岳を右にながめていくと
あの岩場は三体仏に東海展望?
やっぱり宮指路岳がある。でも、えらく近くないか?
実は当初の予定では宮指路岳に登ろうか?と予習をしていた。
ただ宮指路岳のヤケギ谷(ケヤキ谷が正解か?)もカワラコバ谷もヤマビルのメッカだという情報を得ていたので、名阪を走っている道中で宮指路岳を止めて仙ヶ岳(小社峠)登山を選択していたのである。
左を見ると稜線の向こうに仙ヶ岳が見えるじゃないか!
よし!仙ヶ岳へ行こう!そしてその途中にあるはずの小社峠を下山しようじゃないか!
と、答えを出した。
14:10仙ヶ岳目指して県境稜線尾根を歩き始める。
木々に囲まれた「人の通る」尾根歩きは楽で気持ちが良い。但し、条件付きだ。「下り」は!
下ると登り返すが始まる。これがけっこうキツイ。
何度も休憩をする。
登り切った稜線上のピークで、来た道を振り返る。
中央のやや左のピークから歩いてきたようだ。
植林帯の向こうの稜線でヤブコギして登ってきたようだ。
先を急ぐ。登ったと思ったら激下りである。
降りたらまた登り返すのである。
次のピークからは滋賀県側の山々がよく見える。
やがて笹山が進路左手に見えてきた。
仙ヶ岳西峰(最高峰961m)だ。
樹間道から笹道になった、あと少し!
それが急登なのである!
急登の途中でやって来た方向を撮影してみる。
と、いうよりもシンドイので一休みである。
しかし、眺めはものすごく良い。
歩いてきた稜線の先に宮指路岳があり、その左に高円山。
遠望で鎌ヶ岳があり御在所が見えている。絶景かな!
ズームで撮影してみる。これが全山紅葉すると綺麗なんだろうなぁ!
秋にまたここに来よう!
ヒィコラ言いながらピークらしき所に差し掛かる。
テッペンが赤くペイントされた「山」と書かれたコンクリートの棒?
15:11仙ヶ岳西峰(最高峰961m)に到着していたのである!
休憩しながら写真撮影。
眼下には先日登った鬼ヶ牙と臼杵山が見えている。
その手前の稜線は仙ヶ岳の南尾根だ。なんだか見ていてワクワクする稜線だ。いつかあそこも登ろう!
南尾根を左に視線を移していくと仙ヶ岳の東峰だ。
ん?デカイ岩があるぞ?
仙の石か?
よく分からないが、確かなのは、ここからの眺めは絶景!
よし!帰ろう!
15:24下山開始!
下って、登って、休憩して、下って・・・
14:40小社峠分岐までやってきた。
小社峠を少し下って、ふと気がついた。あまり踏み跡が無いなぁ・・・
小社峠の登りは途中で道が分からなかったぞ・・・
しかも沢筋が多く入り込んでいたし、谷がけっこう深かった・・・
迷ったら、それこそ遭難する可能性が・・・いくら6月だといえども日没までに下山せねば!
もう道に迷っている時間は無い!・・・・これだけの事を10秒あまりで考えた。
よし!小社峠を下山するのヤメ!
ヤマビルがウヨウヨしていても宮指路岳のヤケギ谷を下ろう!
そう、思い直して宮指路岳を目指すことに!
宮指路岳へ向かって歩き始めると往路では気付かなかったホンシャクナゲが一輪咲いていた。
ヤブコギして県境稜線に出たときに見えていた岩場がどんどん近づいてくる。
でも、あんな所は通らずに宮指路岳に行けるよな!?と「まだ」思っていた。
ん?あの岩場まで行かなくても?こんな所行くの?
進路が下にある?うぐ・・・えらいザレ場や!
岩も多いやん!嘘や・・・道はそこに向かって降りてるやん・・・
「犬返しの剣」そういえばそんな難所があるって書いてあった!
まぁ慎重にゆっくり行けば大丈夫やろう!?
実際は、そのとおりで焦らずに歩けば何も問題は無い。
でも、落ちると何処まで行くの?と心配するような雰囲気だ。
さらに岩場が近づいて・・・
もっと近づいて・・・
ここを越えた。
ピークからの眺め。
宮指路岳が目の前にある!でも一旦下って登り返すのか!?オイオイ~!!
高円山が正面に見える!林道がけっこう高い場所まで登っているんやなぁ!
ピークから下に降りるとザレザレの砂(砂利)地を通る。
谷の近くまで歩いている人がいるのか?度胸あるなぁ!と感心しながら近づくと足跡に「蹄」が?
人間じゃなくて鹿の足跡や!
ついに岩場に突入した。
岩にマーキングされていないので、どのように通過するのか自分で考えなければならない。
ええい!中央突破や!と、まっすぐ突っ込んでいくと
写真ではうまく伝わらないが「えらい高い所に登ってしもうた!アカン!俺は高所恐怖症や!」
でもアカン!日がかなり傾いてきてる!
ええい!いてまえ!
え?これも降りるんかいな!?
ひぇ~!ごめんしてけろ~!
・・・などと一人で「ボケ」て「突っ込み」をしながらモチベーションを保つ。
あ?足元にイワカガミが咲いている!
山を登っているときに花を見ると「つい」シャッターを押してしまう。
それも休憩の口実かも?(汗)
しかし、6月なのにイワカガミ?標高は余り無いのに?ここは寒いのかな?
ついに宮指路岳とのキレットに到着。
足元の岩場を下り、正面の岩場を登れば宮指路岳や!
メジャーコースなら普通はフィックスロープや鎖があるはず。
でも、今回のこの稜線歩きでは一箇所もそんな気の利いたものはありません。
ここから下も当然自力です。
下った鞍部から振り返って写真を撮ってみる。
山の上の岩場まで「砂場」が続いている!
砂場のツボ足の主は蹄のある方達であるのは言うまでもない。
・・・アカン!もう16:30を回った!良い子は下山完了している時間だ!なのにまだ鈴鹿の山の深い所に俺は居る!
・・・・あの~・・・こ・れ・を・・・登るのですか?
登りましょう!
登り切ると・・・なんだこりゃ?
読めない看板だ。
次に現れたのが分岐標識。
自分は小社峠方面から来た。小岐須峠はカワラコバ谷方面。
ヤケギ谷は小岐須方面だ。帰路はこの小岐須方面を降りればよい。この時の時刻は16:44。
ふと小岐須峠方面に目を向けると朽ちかけた山名板があった。
標高946m宮指路岳の山頂だ。
見晴らしはほとんどない。
小岐須峠の方向に変わった形の石が連なっているのが見える。
ズームアップしたのが下の写真。
時間があればあの岩を見物したいところだが日没が迫っている!
下山するのだ!
と、いいながら喉の渇きを潤して5分ほど休憩。
16:50宮指路岳から下山開始。
降りる!降りる!
デカイ岩がある!その横を通る!
17:03東海展望分岐の看板と通ヤケギ谷の報ポイント8を発見!
日没が迫っているので小走りに降りていく。
ぬぉっ!落ち葉のたまった湿地?いや違う!山の水が滲みでた谷の源頭部らしい。
いかにもヤマビルが生息していそうじゃないか!
ヤバイ!立ち止まると蛭の餌食や!
そう思うと立ち止まっての休憩は「ありえない」暴挙!?
歩けぇ~!と小走りに坂道を下っていく。
17:11ヤケギ谷通報ポイント7を通過。
森の中は暗くなってきた!
17:14ヤケギ谷通報ポイント6を通過。
17:19ヤケギ谷通報ポイント5を通過。
17:25ヤケギ谷通報ポイント4を通過。
17:33ヤケギ谷通報ポイント3を通過。
17:38ヤケギ谷通報ポイント2のカワラコバ分岐を通過。
あと少しだ!
写真はありませんが、カワラコバ分岐から少し降りた地点に砂防堰堤があった。
その堰堤のコンクリートの上で休憩を取った。
もうここまで降りれば、あとは楽勝だと思ったのと、日没を避けたかったのと立ち止まると蛭が寄ってくるので休憩なしに小走りに駆け下りたために喉がカラカラになっていたのだ。でもお茶も水も飲みきっていた。仕方無く、持っていた寒天ゼリーを1つ頬張って我慢する。
一息ついて堰堤の下に降りていくと未舗装林道に出た。17:50
そこには下のような表示があった。
私はこれを見て何を勘違いしたのか、松の木谷/大岩谷方面を歩き出してしまった。
来た方と反対に行けば帰れる!と思ったのだろう・・・
でも、歩けども歩けども車を止めた舗装林道にならない。
オカシイ!?と引き返して歩いていくと、
先程の看板から反対方向に50mも行くと昼前に見た看板があった!
18:00宮指路岳登山口に到着。
舗装路を駐車地に向かって歩いて行くと水場があった。
ここで水を飲んで渇きを癒す。
18:25駐車地に帰還。
11時に駐車地をスタートしたから7時間20分あまりの山行だ。
スタート時間が早ければ何ていうことのない所要時間。
でも、精神的な焦りはアキマセン。余裕のある山行をしなければ!
それにつけても今日最大の教訓は「対象の山のガイド本よりも周辺を含めた地図は必ず携行!」
無事に帰還できて良かった!
そうそう、ずっと気にしていたヤマビルですが、立ち止まらずに歩き続けたからか?一匹も取り付かれていませんでした。
後に9月に宮指路岳に登った時には何匹か見ましたけどね!
しかし、仙ヶ岳への小社峠の道を辿れなかったのは悔しい!もう一度チャレンジしたい!
そして宮指路岳への県境稜線縦走路も大変だったけど、今思えばもう一度行きたいと思っています。
それにしても仙ヶ岳からの眺めは最高でした。
できる事なら紅葉シーズンにもう一度!11月半ばに行けるといいんだけど!
この山行は6月上旬に単独で行ないました。
タイトルの遭難・・・地図(山域周辺)を持たず(コンパスは携行していた)にガイド本の単独峰の登山道のページだけをコピーして持参するという事が如何に暴挙だったか!?という教訓が残りました。(周辺の山域地図も携行しましょう!)
でも、山からの景色は最高だった!
この目標は仙ヶ岳(961m)。仙ヶ岳を小社峠から登ってピストンする予定だった・・・
登山口へのアクセスは、鈴鹿の小岐須渓谷。
伊賀からは名阪国道を通り、東名阪自動車道で鈴鹿ICまで行き、小岐須キャンプ場を越えて大石橋の駐車地を目指す。
道中、災害復旧工事渋滞(少し前の雨で亀山JCT付近で崩落)が発生していた。
現地入りが遅れたため、「帰宅が遅くなる」と嫁に電話をしておいたが、小岐須キャンプ場に到達した時点で、またトラブル発生。
キャンプ場から先の道で工事をしているらしく大石橋まで車で行けない!(この工事は2010年7月に完了)
11:02やむを得ずキャンプ場の管理棟横駐車場に駐車して歩き始める。
駐車地に他に車が2台あったがどうやら工事の人たちの車のようだ。
下の写真は工事現場を振り返って撮影したものだが山側の斜面が崩落したのを削り取り防護ネットを付ける工事のようだった。
その先にはデカイ落石が転がっていた。
11:25 20分あまり道路を歩いたところに宮指路岳登山口の看板があった。
これをスルーして林道終点を目指す。
大石橋の先にある駐車地だが工事をしているので当然無人。
そこからすぐに小社峠登山口へ続く林道に車止めがある。
落ち葉のたまった舗装林道を歩いて行く。
ヒルが湿った落ち葉の影に隠れていそう。コマメにヒルチェックをするが被害は無い。
やがて未舗装路となり、橋を渡ったところから左に林道がカーブして傾斜を登り始める。
その途中に黄色いジャケツイバラの花が咲いていた。
その先にはヤマゴボウ?と思われる花が咲いていた。
帰宅後に調べてみるとマルミノヤマゴボウだと分かった。
ちょうど昼になろうとしていたので橋の上でオニギリを食べて昼食とする。
12:02歩き始めると「仙ケ谷通報ポイント1」の看板があった。ここまでの所要時間は、ちょうど1時間だった。
林道を終点まで行くと目の前の植林帯の手前に沢があり、そこを渡渉する。
植林帯を登り
また渡渉
小さな滝があった。
綺麗な沢をながめながら少しずつ高度を上げていく。
12:16通報ポイント2にやってきた。ここは仙鶏尾根の分岐でもある。
木橋を渡り
大岩の横を通り
12:44 通報ポイント6?アライ谷分岐だ。
通報ポイント3~5は無かったように思った。
赤いペンキマークを頼りに渡渉。
ここを過ぎてから私の悲劇はスタートした。
沢から登ると植林帯で、炭焼き窯跡があった、そこから上を目指して歩いて行くのだが道標も赤テープも無いのである。
木にビニール紐があったり赤い杭が地面に刺さっているが、どれもこれも植林のマーキングらしい。
最後にマークがあった場所まで戻ったりしてみたが埒があかない。これを何度繰り返したことか・・・
ただ分かっているのは、傾斜を登れば、上にはU字型になった県境稜線の尾根道があって、そこを左に進めば仙ヶ岳がある!
よし!登ってやる!と上を目指す。
途中にナメ滝があった。
その先によく踏まれたジグザグ道がある。
植林用の仕事道だろうか?それとも小社峠への道が見つかった!?
どんどん高度を上げていく!
このまま小社峠だ!と、喜んだのも「つかの間」だった。
何本もの巨大な植林ヒノキの倒木が道を阻んでいた。
しかも倒木の樹の枝が半端じゃなく、広範囲に道を塞いでいる。なので乗り越えられないのである。先へ進むには下に一度降りて大きく迂回をせねばならない。
でも、もうそんな時間はかけられない。
ええい!と視線を右上に移すと植林の先が明るい。
しめた!尾根がある!その先にきっと県境稜線がそこにある!
稜線まで登れば県境稜線まで近い!あの明るい尾根に行こう!
植林帯の急斜面を無理矢理にトラバースして尾根付近まで行くと・・・
「オーマイガッ!」
明るい尾根はあったものの、その先は見渡すかぎり花崗岩の岩肌。それがザレいるじゃ、あ~りませんか!
でも来てしまった!紅ヶ岳を思い出せ!もう後戻りは出来ない!と、弱々しいツツジの根っこやアカマツのヒョロっとした枝の根元を掴み、抜けない事を確認しながら文字通り「よじ登った」。
10mほど「よじ登ったら」尾根に出た。でも県境稜線じゃないどころかヤブが酷くて立ち上がることも出来ない。
そこからはイバラの道を這いずって尾根の上部を目指す。
ザックがイバラや枝に引っかかって前に進めない!強行突破!
少し木々に間隔のあるところでは蜘蛛の糸が顔につく。
完全なヤブコギである。カメラを取り出して写真など撮る余裕は微塵も無い!
「うわぁぁぁー!」と心のなかで叫びながら(本当に叫んでいたかも?(汗)、ヤブを突破!
あれ?と、よく踏まれた「道」に突き刺さるように這い出た!
ひょっとして、これは県境稜線!?
(このヤブの中から出てきた)
14:04 回りの景色を確認して何処にいるのか把握しようとする。
正面に野登山がある。
間違えなく県境稜線尾根である。
右を向くとアンテナのある山?高円山?
その手前にある岩場はなんだ?エライ場所やなぁ~と、この時点では他人ゴト。
その右で岩が見えているのは宮指路岳?
宮指路岳を右にながめていくと
あの岩場は三体仏に東海展望?
やっぱり宮指路岳がある。でも、えらく近くないか?
実は当初の予定では宮指路岳に登ろうか?と予習をしていた。
ただ宮指路岳のヤケギ谷(ケヤキ谷が正解か?)もカワラコバ谷もヤマビルのメッカだという情報を得ていたので、名阪を走っている道中で宮指路岳を止めて仙ヶ岳(小社峠)登山を選択していたのである。
左を見ると稜線の向こうに仙ヶ岳が見えるじゃないか!
よし!仙ヶ岳へ行こう!そしてその途中にあるはずの小社峠を下山しようじゃないか!
と、答えを出した。
14:10仙ヶ岳目指して県境稜線尾根を歩き始める。
木々に囲まれた「人の通る」尾根歩きは楽で気持ちが良い。但し、条件付きだ。「下り」は!
下ると登り返すが始まる。これがけっこうキツイ。
何度も休憩をする。
登り切った稜線上のピークで、来た道を振り返る。
中央のやや左のピークから歩いてきたようだ。
植林帯の向こうの稜線でヤブコギして登ってきたようだ。
先を急ぐ。登ったと思ったら激下りである。
降りたらまた登り返すのである。
次のピークからは滋賀県側の山々がよく見える。
やがて笹山が進路左手に見えてきた。
仙ヶ岳西峰(最高峰961m)だ。
樹間道から笹道になった、あと少し!
それが急登なのである!
急登の途中でやって来た方向を撮影してみる。
と、いうよりもシンドイので一休みである。
しかし、眺めはものすごく良い。
歩いてきた稜線の先に宮指路岳があり、その左に高円山。
遠望で鎌ヶ岳があり御在所が見えている。絶景かな!
ズームで撮影してみる。これが全山紅葉すると綺麗なんだろうなぁ!
秋にまたここに来よう!
ヒィコラ言いながらピークらしき所に差し掛かる。
テッペンが赤くペイントされた「山」と書かれたコンクリートの棒?
15:11仙ヶ岳西峰(最高峰961m)に到着していたのである!
休憩しながら写真撮影。
眼下には先日登った鬼ヶ牙と臼杵山が見えている。
その手前の稜線は仙ヶ岳の南尾根だ。なんだか見ていてワクワクする稜線だ。いつかあそこも登ろう!
南尾根を左に視線を移していくと仙ヶ岳の東峰だ。
ん?デカイ岩があるぞ?
仙の石か?
よく分からないが、確かなのは、ここからの眺めは絶景!
よし!帰ろう!
15:24下山開始!
下って、登って、休憩して、下って・・・
14:40小社峠分岐までやってきた。
小社峠を少し下って、ふと気がついた。あまり踏み跡が無いなぁ・・・
小社峠の登りは途中で道が分からなかったぞ・・・
しかも沢筋が多く入り込んでいたし、谷がけっこう深かった・・・
迷ったら、それこそ遭難する可能性が・・・いくら6月だといえども日没までに下山せねば!
もう道に迷っている時間は無い!・・・・これだけの事を10秒あまりで考えた。
よし!小社峠を下山するのヤメ!
ヤマビルがウヨウヨしていても宮指路岳のヤケギ谷を下ろう!
そう、思い直して宮指路岳を目指すことに!
宮指路岳へ向かって歩き始めると往路では気付かなかったホンシャクナゲが一輪咲いていた。
ヤブコギして県境稜線に出たときに見えていた岩場がどんどん近づいてくる。
でも、あんな所は通らずに宮指路岳に行けるよな!?と「まだ」思っていた。
ん?あの岩場まで行かなくても?こんな所行くの?
進路が下にある?うぐ・・・えらいザレ場や!
岩も多いやん!嘘や・・・道はそこに向かって降りてるやん・・・
「犬返しの剣」そういえばそんな難所があるって書いてあった!
まぁ慎重にゆっくり行けば大丈夫やろう!?
実際は、そのとおりで焦らずに歩けば何も問題は無い。
でも、落ちると何処まで行くの?と心配するような雰囲気だ。
さらに岩場が近づいて・・・
もっと近づいて・・・
ここを越えた。
ピークからの眺め。
宮指路岳が目の前にある!でも一旦下って登り返すのか!?オイオイ~!!
高円山が正面に見える!林道がけっこう高い場所まで登っているんやなぁ!
ピークから下に降りるとザレザレの砂(砂利)地を通る。
谷の近くまで歩いている人がいるのか?度胸あるなぁ!と感心しながら近づくと足跡に「蹄」が?
人間じゃなくて鹿の足跡や!
ついに岩場に突入した。
岩にマーキングされていないので、どのように通過するのか自分で考えなければならない。
ええい!中央突破や!と、まっすぐ突っ込んでいくと
写真ではうまく伝わらないが「えらい高い所に登ってしもうた!アカン!俺は高所恐怖症や!」
でもアカン!日がかなり傾いてきてる!
ええい!いてまえ!
え?これも降りるんかいな!?
ひぇ~!ごめんしてけろ~!
・・・などと一人で「ボケ」て「突っ込み」をしながらモチベーションを保つ。
あ?足元にイワカガミが咲いている!
山を登っているときに花を見ると「つい」シャッターを押してしまう。
それも休憩の口実かも?(汗)
しかし、6月なのにイワカガミ?標高は余り無いのに?ここは寒いのかな?
ついに宮指路岳とのキレットに到着。
足元の岩場を下り、正面の岩場を登れば宮指路岳や!
メジャーコースなら普通はフィックスロープや鎖があるはず。
でも、今回のこの稜線歩きでは一箇所もそんな気の利いたものはありません。
ここから下も当然自力です。
下った鞍部から振り返って写真を撮ってみる。
山の上の岩場まで「砂場」が続いている!
砂場のツボ足の主は蹄のある方達であるのは言うまでもない。
・・・アカン!もう16:30を回った!良い子は下山完了している時間だ!なのにまだ鈴鹿の山の深い所に俺は居る!
・・・・あの~・・・こ・れ・を・・・登るのですか?
登りましょう!
登り切ると・・・なんだこりゃ?
読めない看板だ。
次に現れたのが分岐標識。
自分は小社峠方面から来た。小岐須峠はカワラコバ谷方面。
ヤケギ谷は小岐須方面だ。帰路はこの小岐須方面を降りればよい。この時の時刻は16:44。
ふと小岐須峠方面に目を向けると朽ちかけた山名板があった。
標高946m宮指路岳の山頂だ。
見晴らしはほとんどない。
小岐須峠の方向に変わった形の石が連なっているのが見える。
ズームアップしたのが下の写真。
時間があればあの岩を見物したいところだが日没が迫っている!
下山するのだ!
と、いいながら喉の渇きを潤して5分ほど休憩。
16:50宮指路岳から下山開始。
降りる!降りる!
デカイ岩がある!その横を通る!
17:03東海展望分岐の看板と通ヤケギ谷の報ポイント8を発見!
日没が迫っているので小走りに降りていく。
ぬぉっ!落ち葉のたまった湿地?いや違う!山の水が滲みでた谷の源頭部らしい。
いかにもヤマビルが生息していそうじゃないか!
ヤバイ!立ち止まると蛭の餌食や!
そう思うと立ち止まっての休憩は「ありえない」暴挙!?
歩けぇ~!と小走りに坂道を下っていく。
17:11ヤケギ谷通報ポイント7を通過。
森の中は暗くなってきた!
17:14ヤケギ谷通報ポイント6を通過。
17:19ヤケギ谷通報ポイント5を通過。
17:25ヤケギ谷通報ポイント4を通過。
17:33ヤケギ谷通報ポイント3を通過。
17:38ヤケギ谷通報ポイント2のカワラコバ分岐を通過。
あと少しだ!
写真はありませんが、カワラコバ分岐から少し降りた地点に砂防堰堤があった。
その堰堤のコンクリートの上で休憩を取った。
もうここまで降りれば、あとは楽勝だと思ったのと、日没を避けたかったのと立ち止まると蛭が寄ってくるので休憩なしに小走りに駆け下りたために喉がカラカラになっていたのだ。でもお茶も水も飲みきっていた。仕方無く、持っていた寒天ゼリーを1つ頬張って我慢する。
一息ついて堰堤の下に降りていくと未舗装林道に出た。17:50
そこには下のような表示があった。
私はこれを見て何を勘違いしたのか、松の木谷/大岩谷方面を歩き出してしまった。
来た方と反対に行けば帰れる!と思ったのだろう・・・
でも、歩けども歩けども車を止めた舗装林道にならない。
オカシイ!?と引き返して歩いていくと、
先程の看板から反対方向に50mも行くと昼前に見た看板があった!
18:00宮指路岳登山口に到着。
舗装路を駐車地に向かって歩いて行くと水場があった。
ここで水を飲んで渇きを癒す。
18:25駐車地に帰還。
11時に駐車地をスタートしたから7時間20分あまりの山行だ。
スタート時間が早ければ何ていうことのない所要時間。
でも、精神的な焦りはアキマセン。余裕のある山行をしなければ!
それにつけても今日最大の教訓は「対象の山のガイド本よりも周辺を含めた地図は必ず携行!」
無事に帰還できて良かった!
そうそう、ずっと気にしていたヤマビルですが、立ち止まらずに歩き続けたからか?一匹も取り付かれていませんでした。
後に9月に宮指路岳に登った時には何匹か見ましたけどね!
しかし、仙ヶ岳への小社峠の道を辿れなかったのは悔しい!もう一度チャレンジしたい!
そして宮指路岳への県境稜線縦走路も大変だったけど、今思えばもう一度行きたいと思っています。
それにしても仙ヶ岳からの眺めは最高でした。
できる事なら紅葉シーズンにもう一度!11月半ばに行けるといいんだけど!
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