津市平木エリア遭難者の捜索::つばや菓子舗五代目ブログ

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五代目の四方山不定期更新日記
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2021年3月24日、山友より着信。
伊賀に隣接している津市美里町平木の山林で高齢男性の行方不明者あり。3/19に持ち山を見てくると出かけたが帰って来ず。車は持ち山に近い林道に駐車されていた。
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警察と消防が対象エリアを隈なく4日間捜索したが発見に至らず。
現地は山に慣れた者以外では二次遭難の恐れがあり、誰もが探しに行ける場所ではないとのこと。
遭難者の持ち山から尾根を越した先の沢に迷い込んだりしている可能性もあるので、この山域のバリエーション山行をしている人に対して「遭難者あり」という周知だけでもお願いできないだろうか?という依頼。
失踪からの経過日数が5日間になろうとしている・・・無事だろうか・・・

初見でバリルートを歩ける人材または、経ヶ峰界隈のバリルートを歩いている山友に上記の懸案事項をLINEなどで伝達。私のメッセージを見た山友が各自のYAMAPやFBなどを通じて遭難情報を慎重に拡散してくれた。

翌日3/25、私の山友の働きかけに応じてくれたYAMAPユーザーたちが3人で対象エリアを捜索してくれたが手掛かりなし。山岳遭難者捜索のプロも同一山域に居たとの報告。
これは一筋縄では見つからないかもしれない。

ただ、私は家業が忙しく、すぐに捜索に関われない。
時間の空いている時を利用して地図を何度も眺めて思いついたのは、おそらく、P725&P752の北面の黒曽川流域が本命だろう。

この事を聞いた山友が、まずは3/26に山友が黒曽川林道を調査しようか?と林道入り口まで実際に車で見に行き、林道内の情報を過去ログなどで調べてくれた。その結果、県道は通行可能だし、林道終点まで普通車でも入れそうということが分かった。
ここを起点に定休日になったら沢から支流総当たりで捜索か?と思っていた。

3/26の夜、山友「しのやん」が明日の午前中ならばと、時間が作れたので現地に行ってみるとのこと。それなら、P725,P755源頭部に対象者がいるかもしれないから、黒曽林道終点から沢登りで行ってみて!とお願い。

3/27に「しのやん」が沢準備をして黒曽川を遡上してくれた。
しかし、彼も午後は予定ありだったので昼までで帰らねばならなかった。そして残念ながら発見に至らず。
その一報を聞き、ならば、尾根から落ちた斜面に引っかかっているのかも?と、私も仕事にキリを付けて3/27の午後から行動開始。
管轄地の消防に電話して担当警察署を教えてもらった。
担当警察署で電話に出た警官も捜索していた人だった。
まだ未発見のままという。

ヘルメット、ハーネス、エイト環、30mロープなどをザックに入れ、14時前に自宅を出発。
持ち時間が少ないので旧国道163号線より林道経ヶ峰線を車で走り、その終点を目指す。
寒気も入ってきていたので16時まで進んだ先で引き返すつもり。

国土地理院の地形図に記載されている林道終点よりも700m東進した場所まで舗装路は完成していた。
でも、当初計画よりもかなり遅れている?

P761の東の鞍部付近(標高720m)の路肩に車を駐車し、その東のピークへ向かう。
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この登りがちょっとシンドイ。
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アセビが蔓延っていると見通しは皆無。
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工事中の林道はこのピークの北面を巻いて造成している。
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歩きはじめてすぐに鉄塔。巡視路がある。ここは歩きやすい場所だから捜索済みだろう。
P752~P725の北面が本命か?とヤマをはっているが、そこまでの標高線の間隔の広いエリアも迷い込んでいないか?と思ったので調査しておく。
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広い植林は何の特徴も無い。
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目印のテープが何種類か貼られているが持ち山の境界線も含まれているのか?
水場になりそうな場所も確認しながら歩く。
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広い植林帯で何の特徴も無く、このエリアに迷い込んだらスマホやGPS端末のお世話になれない場合は帰れなくなるだろう。
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しかし、手掛かりなしだ。

P725北西尾根にある破線は捜索活動が終わっているだろう
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なので、その北面の山腹に対象者が引っ掛かっていないか?
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山腹の高度を下げ、谷底と尾根頂部の両方が見たわせるようにトラバース。
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キョロキョロと上下に目線を動かして隠れるスペースなどが無いか?
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確認しながら歩く。
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獣道が辛うじてあるのだが、谷の部分は崩落していたり崩土が積もって居たりするのでスイスイと歩かせてもらえない。
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岩陰に隠れていないか?下から確認。
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谷下には?
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P725北尾根下部までやってきて本日時間切れ。
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まもなく16時、残念ながら手掛かりなし。
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P725に登っていくと谷を挟んでカヤトが山頂の山が見えた。
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山容と方位から、嘉嶺の頭(四等三角点:河内788.35m)だろうか?

P725から車まで戻る
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その間も登山ルートというか破線ルートを外して歩く。
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なだらかな地形で特徴のない植林エリア。
杣道や登山道でなくとも、明瞭な鹿道をたどって目的と違うルートに連れていかれたりするのが低山の怖いところだ。
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結局、何の手掛かりも無く車に戻った。
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明日は雨らしい。
仕事も今日の午後に出来なかったことをしなければならない。
また後日、捜索に行こう。

山行日:2021年3月27日
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距離:4.4km
沿面:4.6km
所要時間:2時間42分
累積標高:+-440m
最小標高:607m
最大標高:742m

3/28は雨。
しかし、それでもYAMAPの捜索の呼びかけや捜索活動を見た一般人が捜索していたようで11:40発見の一報が私に捜索協力依頼をしてきた山友に入った。

そして3/29詳細が届いた。
遭難者はP725から南に少し下った鞍部から東の尾根端:黒曽川左岸(地形図上で黒曽川の水線が細くなる場所)で遺体で発見されたらしい。
外傷の無い状況や持っていた携帯電話に記録されていた内容などから、事件性は無く、また滑落でもなく、道迷いの後、低体温症からの衰弱死だったらしい。

今回の対象者は山の持ち主で山を見てくるという動機での入山&遭難だったようだが、やはりGPSなどによる位置確認方法を持参していないことや単独での入山は高リスクであると言えよう。

また、携帯電話やGPS機器も、置忘れや落下故障・機器(GPS衛星を含む)のトラブルでその機能が利用できなくなることを考えると、安全の二重化として無線の携行またはココヘリを携帯することを検討されたい。

特にコンパスの使い方も知らずに読図(地形図)も出来ない人が、スマホアプリに完全依存して山歩きをしている場合、「山は危険な場所」という認識をまず持ってほしいと思う。
| 山登り::布引山地 |
| 06:23 PM | comments (0) | trackback (0) |

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